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キース・リチャーズは音楽と愛に満ちたナイスガイなんだぜ。

キース・リチャーズ自伝「ライフ」 キース・リチャーズ著

本を読んでいて、クールでヒップなテキストを見つけると、思わず頁の角を折ってしまうクセがあるので、名文句がやたらと噴出するこの本は、ご覧のような有り様となってしまいました。
雪深い冬の夜長にポツポツと読み始め、この本が届いてからほぼ1年を経て、ようやく読了。
いやぁおもしろかった!
ドラッグにまみれたジャンキーロックンローラーのドタバタハードボイルドな半生。
そんじょそこらのギャングもの、マフィアもの、やくざもの、なんかの物語よりとっても過激でハチャメチャ。
本当にこの人はどしよもないジャンキーだったんだねぇ、これでよく生き残れたものです。
しっかしそれでもなお、音楽と家族友人に対する愛情の深さは半端じゃない。
ついでにミックに対しての愛憎入り混じるヤキモキ感も半端じゃなく、本当の兄弟のよう。
この本で特にオデが好きな部分は、ストーンズのあの楽曲たちがどんなふうにして生み出されたのかを語るところ。
なかでも、先人の残したブルースやロックンロールを冷静に分析しつつ自分なりの方法を見つけ出して行く姿勢、それを説明する学究的な語り口には驚かされます。
たとえばこんなふうに・・・。

いちばん下の弦はじゃまだ。しばらくして自分には必要ないととわかった・・・
オープン・チューニングでコードを弾き始めて、新たな地平が開けた。
弦を一本変えたとたん、指の下にまったく新しい宇宙が広がったんだ・・・
エレキギターの場合、五弦オープンGのチューニングの長所とパワーは、三つの音しかない点にある。
残りふたつは一オクターブ離れて互いに繰り返される。G-D-G-B-Dと調律される。
一定の弦が曲全体を駆け抜けるから、ずっと持続低音(ドローン)がどぎれないし、エレキだから反響する。
音は三つしかないが、オクターブがちがうから、ベースといちばん高い音のギャップを埋められる。
これがあの美しい共鳴と響きを作り出す。

オープン・チューニングでやってみて、指を置く必要のない場所がごまんとあるのに気がついた。
音はすでにそこにある。一定の弦を大きく開放できる。
要は、オープン・チューニングをうまく働かせるスペースを見つけることだ。
しかるべきコードを鳴らしていると、別のコードが後に続いてくるのがわかる。
じっさいに弾いてるわけじゃない。なのに、そこに鳴り続けている。
理屈に合わない。それなのに、「お、こりゃすごいぜ」なんて感じなんだ。
問題はどれを残すかだ。その音を消しちゃダメだ。ほかの音とは別に残すんだ。
指を別の位置に置き換えても、その音はまだ鳴り響いている。
シタールの共鳴、もしくは共鳴弦と呼ばれるやつが同種だな。
理屈の上ではうまくいくはずないんだが、
じっさい弾いてみると、別のコードに移ってもその音は鳴り響いている。
これが自分のやろうとしている、あらゆることの根源音(ルート・ノート)ということをついに発見したんだ。
それがドローンだ。

夢中になってギターを学習しなおした。
気持ちが奮い立つ感じがした。
まるで別の楽器に向きあっている気分だった。

モーツァルトやヴィヴァルディの作品に耳を傾けると、あの二人もドローンを知っていたことが分かる。
ひとつの音を本来ないはずの場所に残し、消さないで、風に揺れるにまかせ、死者を美しく蘇らせる。
いつどこでそれをやればいいか、あの二人は知っていた。
これが音楽なんだ。



ギターを覚えたての少年の頃、新しい小技を会得したあのワクワク感「やったぜこれだ!」
まるであの頃の純粋な気持ちを呼び覚ましてくれるような、こんな記述が随所に出てきます。
まぁその間を埋めるのがドラッグ・ドラッグ・ドラッグなので、その純粋な気持ちもあっという間に吹き飛んでしまうんですけどね。
いずれにしてもキース・リチャーズ恐るべし、です。
やっぱりあんたについてくよオデは。

キース・リチャーズ自伝「ライフ」 キース・リチャーズ著